§ ご挨拶。テクスト② はコメントを受け付けていません § permalink
「見える」とは、二つの目から得られる光が正しく網膜まで届き、その光の情報が、視神経のケーブルで電気信号として脳まで伝達され、正しく認知されること。
であるという。
二つの目を開いていても、目前に存在するものが「見えない」時がある、目前なので当然目は情報を取り入れている、だけど「見えない」。
それは、目は外部からの光の情報を取り入れあくまでオートマチックに情報を送るだけの器官であり、目はものを「見ていない」のだ。情報が「見える」か「見えない」かは脳の器官に委ねられている。
そして脳は、目を閉じ光の情報がなくても、そこに何かが存在していなくても、「見える」という事が出来てしまう。
それは脳が、記憶や思いを勝手に「見える」に作り上げているからだ。
脳は自由に「見える」「見えない」を作り出す。
あの星の海を誰が正しく「見える」のか。
あの強烈な光を誰が正しく「見れた」のか。
あの四肢の大きさを誰が正しく「見える」のか。
この絵空事を誰が正しく「見える」のか「見えない」のか。
今私の脳はその光を素通りしようとした。
脳が感じてくれないと何も見えない。
ー「吉村正美 眼界の絵画展」(2018.) ー
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§ 黒い、考察。 はコメントを受け付けていません § permalink
それは顔料と油が酸化し固り、物質として現前している。
この物質は、ある姿を消したものの代わりとなって現れているのだが、ある姿を消したもの、
それは銅という金属である。
ここでいう消すとは、私により、目の前から私の思考分の銅を取り除くという事なのだが、
こちらとしては銅に思考を刻み込んでいるつもりが、消滅させられているという事実も相まってか、
金属特有の冷たさで見事に突き放され、その思考は銅についた傷でしかなく、ただの空洞だ。
それではあんまりだと言うことで、空洞になった思考を可視化させるべく、もう一度空洞を埋めていく作業が
必要となる。
重要なのは、埋めるべき空洞は無くなった分の金属と同等の強さが必要になり、無くなった分の金属は、刻み込まれた思考であるという事だ。
そこで、私の思考と金属の強さを可視化できるものに選んだのは、黒という色である。
物の色というのは、それが反射する光の波の波長に関係して認識できるものだが、黒というものは、殆どの光の波長を反射せず光を吸収してしまう。人間の可視領域に於いて、感得されないその状態が “黒として見える” と言う事なのだ。そして、光というエネルギーを吸収すると熱を生む強い色である。
ただ、人間に感得されない状態が黒として見えるというのならば、黒色は見えているようで実は見えてはいない
とも言えるのではないか。しかし、黒という色の物質として現前している。どうやら黒は、見えるとはを改めて考え
させる色である。
銅の空洞に埋められ可視化された黒、その黒色は見えているようで、実は見えていないかもしれない。
そしてまた空洞というものは、光が届かなければ黒として見えてくる。
光が届かない場所は,黒のみ感じる事ができるのだ。
私が黒を使うのは、光が届かない場所、それを感じる事ができるからである。
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§ ご挨拶。テクスト① はコメントを受け付けていません § permalink
闇に隠れて生きる
俺たちゃ妖怪人間なのさ
人に姿を見せられぬ
けもののようなこの体
(早く人間になりたい!!)
暗いさだめを吹き飛ばせ
(ベム ベラ ベロ)
妖怪人間
月に涙を流す
俺たちゃ妖怪人間なのさ
悪をこらして人の世に
生きる望みに燃えている
(早く人間になりたい!!)
暗いさだめを吹き飛ばせ
(ベム ベラ ベロ)
妖怪人間
星に願いをかける
俺たちゃ妖怪人間なのさ
正義のために闘って
いつかは生まれ変わるんだ
(早く人間になりたい!!)
暗いさだめを吹き飛ばせ
(ベム ベラ ベロ)
妖怪人間
作詞 第一動画文芸部
作曲 田中正史
唄 ハニー・ナイツ
” 早く人間になりたい ”
この言葉の破壊力。この言葉の持つ永遠の難題にとらえられた経験のある者が、今現在もあまねく存在しているとは思いますが、
昭和の時代に、この呪の文言を生み出した『妖怪人間ベム』というテレビアニメが、毎週月曜日19時30分~20時00分ゴールデンタイムの時間帯に放送されておりました。全26話。
内容はバッサリ割愛させていただくとして、
このアニメが放映されていた時代というのは、人もものも道具となり、後に”東洋の奇跡”と世に語り継がれた1954年~1973年高度経済成長期の真っ只中でして、特に妖怪人間放映年の1968年はGNP(現在ではGNI)世界第2位となった年でもあります。
日本だけではなく、この時代は世界各地に~の奇跡と名打たれる経済成長が起こっておりますが、やはり日本のハネ方はもの凄かったのでしょう。目指せ一億総中流!そ~そ~!
また、そんな1968年頃は、怪奇、妖怪といった類がブームとなっていたようです。
この” 奇跡 ”の中、このような” 奇 ”な作品が作られたのは必然であり、時代のある種の遺産でしょうな。
なぜって、上だけを見てこんなにも前へ前へと疾走した時代、横や後ろ斜めや下には、見えていなかった、見ようとしなかった ” 早く人間になりたい ”と語りかけてくるもの多そうじゃないですか。
ー 「ブラック☆リムジン展」(2016.) ー
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