追分宿に思いをはせると、当時の街道旅の事が思い起こされた。
旅はさぞ過酷だったろうと想像出来るが、そんな中でも交通労働者の馬子は、馬子唄というものを歌い歩いて旅の苦労を軽減していたようだ。いつの世もどんな状況でも、歌の力、創造の力というものは人の気分を高揚させ、癒し、前を向かせる力があるのだ。
その様な思いから、今回街道旅を全体のテーマに、馬子と、油屋のあった信濃追分は中山道と北国街道の分岐点の宿場なので”ここら辺”を意識し、浅間山というランドマークをモチーフとした。全ての作品のタイトルに馬子唄の中の詞を引用している。
雄大な浅間山を背景に、馬子衆のリズミカルな足音が聞こえてきたなら幸いだ。
旅の空 145x80mm etching,aquatint 2017 ed.30
浅間の煙 95x135mm etching,aquatint 2017 ed.30